口臭が気になる方へ
口臭は大きく、生理的に発生してしまう(誰にでもある)「生理的口臭」と、病気など身体の異変によって発生する「病的口臭」、「食事の内容・嗜好品による口臭」に分けられます。
生理的口臭の場合は、治療は必要ありません。一方で病的口臭の場合は、その原因となっている病気を治療する必要があります。口臭の原因は虫歯・歯周病などのお口の病気のほか、全身の病気やお薬の影響が深くかかわっている場合があります。まずは原因がどこからきているのか特定する手段の一つとして、歯を磨いても口臭が強い・においが気になるという方は一度ご相談ください。
口臭の種類
口臭が気になる場合、まずは歯科医院を受診なさることをおすすめします。内臓の病気などを原因とする病的口臭が疑われる場合には、各専門医療機関をご紹介します。
生理的口臭
起床直後や空腹時、緊張時などに強くなる、生理的な反応による口臭です。その時間帯を過ぎれば口臭は治まります。気になる場合には、水を飲んだりガムを噛んだりして、お口を湿らせることで口臭を軽減できます。
病的口臭
虫歯や歯周病といったお口の病気、鼻の病気、内臓の病気などによって起こる口臭です。
それぞれの病気の治療をすることで口臭が軽減できます。
食事の内容・嗜好品による口臭
ニンニクやアルコールなどに含まれるにおい成分が肺から吐き出されて発生する口臭です。喫煙などによってもこの口臭は強まります。
いずれも時間が経てば軽減します。
こんな口臭は歯周病が原因
歯周病は、独特なにおいを放ちます。以下のような口臭がある場合には、歯周病が疑われます。
玉ねぎが腐ったようなにおい
歯周病に伴う「メチルメルカプタン」という揮発性硫黄化合物が、玉ねぎが腐ったようなにおいを放ちます。毒性を持ち、歯周病を悪化させる原因にもなります。
卵を腐らせたようなにおい
「硫化水素」という揮発性硫黄化合物も、歯周病に伴うにおい物質の1つです。卵を腐らせたようなにおいを放ちます。健康な方のお口にも存在するものですが、歯周病の方は特にそのにおいが強くなります。
歯周病以外の原因で起こりやすい口臭
生ごみ・野菜を腐らせたようなにおい
生ごみ・野菜を腐らせたようなにおいを放つのが「ジメチルサルファイド」という揮発性硫黄化合物です。全身疾患や薬の影響で発生する傾向があります。
口臭のセルフチェック
普通に呼吸をして自分の口臭を嗅ぎ分けることは困難ですが、コップやビニール袋を使って簡単にセルフチェックすることができます。
- 清潔なコップ(紙コップでも可)、ビニール袋に息を吹き込みます。
- フタをして、深呼吸をしながら10秒ほど待ちます。
- フタを外して中の呼気を嗅ぎます。
歯ぐきのこんな症状は歯周病のサイン
歯周病はほとんど無症状で進行します。以下のような症状が見られる場合は、高い確率で歯周病が起こっていると考えられます。
- 歯ぐきの腫れ、出血
- 歯ぐきから膿が出る、口臭が強い
- 歯間が広くなった
- 歯が長くなったように見える
- 起床時に不快なほどお口が粘ついている
- 歯のグラつき、ムズムズする
糖尿病と口臭・歯周病の深い関係
歯周病と糖尿病はお互いに影響しあっている
近年のさまざまな研究により、糖尿病と歯周病には深い関係があることがわかってきました。
歯周病菌の出す毒素の影響により血糖値を下げる働きのインスリンの分泌が悪くなり、糖尿病が悪化します。また、糖尿病の患者様は唾液の分泌量が減るため、お口の中のバリア機能が低下します。そのため歯周病菌が活発になり歯周病が進行します。またある研究データによると、歯周病治療を開始したことにより、糖尿病の病状が改善されたという研究結果が出ています。このようなことからも歯周病と糖尿病は、先にどちらが発症していてもお互いに影響しあう病気と言えます。
糖尿病になると口臭がひどくなる?
糖尿病の影響により唾液の分泌量が低下すると、お口のバリア機能が低下するため口腔乾燥症(ドライマウス)や虫歯などのお口の様々な病気にかかりやすくなります。そのため口臭がきつくなる傾向があります。 また、糖尿病の患者様はインスリンの働きが悪くなる影響により、肝臓で「アセトン」という物質が大量に作り出されます。アセトンは尿や息に漏れ出てくると独特な酸っぱいにおいが出てくるのでこれが口臭の原因となります。歯周病にかかっていなくてもこの独特なにおいのため糖尿病の方は口臭がきつくなる傾向があります。
歯周病と全身の健康
歯周病は、全身疾患との深いかかわりを持つお口の病気です。
糖尿病の悪化
歯周病が重度にまで進行している場合、そうでない方と比べて糖尿病になるリスクが数倍高くなることが報告されています。
心疾患を引き起こす
動脈硬化を起こした血管を調べると、歯周病菌が見つかったという報告があります。歯周病菌が血管内に入り込み、心疾患などの原因になっている可能性が指摘されています。
妊娠中の場合、早産・低体重児のリスクが上がる
妊婦さんが歯周病になると、そうでない方と比べ、早産・低体重児出産のリスクが数倍に跳ね上がったという報告がされています。
歯周病は予防できる病気です
このように、歯周病はお口だけでなく全身の健康と深いかかわりを持つ病気です。虫歯と同様に予防が可能ですので、早くから予防歯科に取り組まれることをおすすめします。
鴫野駅前むらかみデンタルクリニックの歯周病治療の流れ
歯周病治療は、歯科医院と患者様の協力が不可欠です。ご自宅でのセルフケアについても丁寧に指導しますので、一緒に頑張りましょう。
各種検査・診断・治療計画のご説明
以下のような検査を行った上で、診断・治療計画をご説明します。
歯ぐきの検査(プロービング)
特殊な器具(プローブ)を使い、歯周ポケットの深さを測ります。
画像診断(レントゲン・CT)
レントゲンや歯科用CTにより、顎の骨の状態(量・質)を調べます。
歯ブラシチェック
正しく歯磨きができているか、プラークや歯石の付着具合を見て調べます。
生活習慣・持病について問診
喫煙を含めた生活習慣や糖尿病といった全身疾患の有無を問診にて確認します。
歯周基本治療
歯周病と診断した場合には、まず「歯周基本治療」を行います。
進行の度合いにかかわらず、すべての歯周病の症例で必要になる大切な治療です。
ブラッシング状態の確認・正しい歯ブラシの方法の指導
ブラッシングの状態を確認し、お一人お一人にあった歯磨き方法をアドバイスいたします。
歯石除去・SRP・PMTCなどのお口のクリーニング
特殊な器具を用い、プラーク・歯石を徹底的に除去します。歯周病で深くなった歯周ポケットには、SRPという歯石とりと歯周ポケットの中の清掃を一連の流れとして行う処置を行います。
ご希望の方には、歯面がツルツルになるPMTCなどもご用意しております。歯科医院での専門的なクリーニングを定期的に行い、ご家庭でのお手入れの見直しと両輪で歯周病が改善されていきます。
かみ合わせのチェック
かみ合わせの乱れも、歯周病の発症・悪化の原因になります。必要に応じて調整します。
治療済みの歯のチェック
詰め物・かぶせ物の不適合も、プラークが溜まる原因になります。必要に応じて調整・作り替えを行います。
再評価
歯周基本治療に取り組んだあと、再度検査を行い、改善具合を確認します。一定の改善が見られない場合には、歯周外科治療を行います。
歯周外科治療(再評価の結果により必要な場合)
歯周基本治療終了後の再評価の結果、歯周病の改善に必要と判断された場合に行います。
主に深くなった歯周ポケットが改善されない場合に歯茎の切開を行う「フラップ手術」や、歯周病によって失われた歯周組織を再生させる手術「エムドゲイン法(歯周組織再生療法)」などがあります。
歯周外科治療後は再び再評価を行い、歯周病が改善されていれば定期メインテナンスへ移行します。
定期メインテナンス
歯周基本治療、歯周外科治療のあとも、歯周病が再発するリスクは残ります。定期的にメインテナンスを受け、お口を適切に管理していきます。